福岡探偵事務所への相談の中で浮気をした配偶者から離婚したいと言われて納得いかないという相談があります。原則は有責配偶者からの離婚請求は認められませんが要件を満たせば離婚ができるようになっています。このように、浮気をしている側から離婚したいと言われることは現実的にはよくあるケースで、配偶者が浮気相手に本気になり早く離婚をして浮気相手と一緒になりたいと思う人は結構います。浮気された側からすると馬鹿にしてるんじゃないかと腹が立ちますが、浮気をしている側からすると離婚をして早く一緒になりたいと思う事で頭が一杯になり周りが見えていない人が多いのです。有責配偶者からの離婚請求ができる要件とは何かを福岡の探偵が説明します。
目次
■有責配偶者からの離婚請求要件
有責配偶者から離婚請求が成立する可能性がある要件を説明します。
・別居期間が長期間に及んでいる
長期間とは何年とは決まっていませんが、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいる事とされています。6年弱で離婚を認めた判例があるので、その期間くらいが相当の長期間と考えられそうですが、6年以上別居しているのにもかかわらず相当の長期間と認められなかったケースもあります。これは個別具体的に考えなければなりませんが、ある程度の目安としては参考になるかと思います。
・未成熟子が居ないこと
未成熟子とは未成年ということではなく、成人していても介護が必要であったり、親から独立して生活できない子の事を言います。なので、18歳で親から独立して生活しているような場合は未成熟子とは言いません。ただ、未成熟子がいるからと言って必ずしも離婚請求が認められないという事ではなく、離婚後も経済的支援などをするのであれば離婚請求が認められたという判例もあります。ただ、未成熟子がいると離婚が認められないという傾向が強いです。
・苛酷状態にならないこと
苛酷状態とは精神的・社会的・経済的な意味で、特に経済面が過酷にならないかという事が要件となっています。別居期間中に相応の生活費を送金しているのか、離婚給付においても相応の金額の申し出があれば苛酷状態にならないとされたケースがあります。具体的な判断要素は「有責配偶者が相応の生活費を負担してきたか」「評価できる内容の離婚給付の申し出がなされているか」「離婚を拒否している側の生活、収入状況など」「離婚を拒否している側が関係修復のために紳士かつ具体的な努力をしているか」などがあります。
■有責配偶者からの離婚が認められたかった例
有責配偶者からの離婚が認められなかった例を見ていきましょう。
・有責配偶者からの離婚は時間が必要
上でも書いたように、有責配偶者からの離婚は時間が必要です。平成25年からの事例を挙げると、別居期間が約9年、未成熟子が1名、同居期間が約18年だったという有責配偶者の夫からの離婚請求という事案で、別居期間が相当の長期間に及んでいると認められないこと、将来分の金銭的給付の履行には不安が残るといわざる得ないこと、このような状況の下で、妻は苛酷な状況に置かれるとして信義誠実の原則に照らし許されないと判断されたものがあります。このように、別居期間が9年あったとしても有責者からの離婚は認められないので、有責配偶者からの離婚はほとんどのケースで出来ません。
・離婚を請求された側の対策
有責配偶者から離婚を請求され、離婚を請求された側が離婚をしたくないと考えているとしましょう。その場合、離婚を請求された側は別居をさせないという事が一番の策だと思います。未成熟子が居ないことや苛酷状態にならないことは自分でどうにかしようとして出来るものではありません。なので、離婚を請求された側が離婚をしたくないと考えているのであれば、まずは別居をしないという方向に持っていくことが重要です。離婚をしたくないと言うだけではなく、有責配偶者から離婚ができる要件を作らせないようにする必要があるのです。また、有責配偶者であるという証拠も集めておく事が必要でしょう。
■まとめ
今回は有責配偶者からの離婚請求について書いてみました。当たり前ですが有責配偶者からの離婚が簡単に認められるわけありません。しかし、全く認められないという訳ではなく、3つの要件を満たせば離婚が認められてしまいます。離婚を回避したい場合は有責配偶者であるという立証と要件を満たさせないようにする事が大切です。離婚をするとしても有責配偶者から好条件の離婚給付を受けることが出来る可能性も高いので、しっかりと浮気の証拠を集める事も必要です。