社員の素行調査とは、雇用している人物の行動をチェックすることです。勤務態度に問題があったり、金銭横領の問題があったりする場合に相談があります。例えば、外回りの営業担当が業務を行っていないとかは典型的な調査の一つになります。
■社員の素行調査について
企業は勤務中の社員の監督義務もありますし、社内でトラブルがおこれば調査を行うのは当然です。しかし、合法的な調査は出来ても身分差別に繋がるような調査は違法になるので行うことは出来ません。そのような違法な調査以外であれば、合法で調査をすることができます。
社員の素行調査は違法じゃないのか?
まず、探偵業務とは以下のように法律に定義されています。
(定義)第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
よって、弊所のように公安委員会に届出をだしている探偵事務所は尾行や張り込みなどを行い、社員の行動についての情報を収集するのは問題ありません。たまに、ストーカーに当てはまらないの?との質問を受けるのですが、ストーカーという定義は法律に以下のように定義されています。
(定義)第二条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
要するに恋愛感情によってつきまといを行ってはいけないということになっています。社員の素行調査は恋愛感情とは別の理由で調査をしますので違法でもなんでもありません。逆に、あの同僚が好きだから住所を知りたいという依頼であればこの法律の定義するものになるでしょう。その場合は断ります。
■社員の素行調査の事例
会社内でのトラブルは小さいうちに処理することによりリスクを回避する事が出来ます。トラブルは火事のようなもので、小さな火のうちに処理すれば痛手は少ないという事です。弊所で経験した社員の素行調査とはどのようなものでしょうか?
・競合避止契約違反
・金銭横領副業禁止規定に違反
・労災等で長期休業
・元社員が独立開業し社員を引き抜いている
・勤務時間中のサボり
このような事例がありますが、事実確認及びそれらの証拠収集を探偵としてできます。以下、調査結果等の例をいくつか挙げておきます。
■競合避止契約違反の調査(ケース1)
依頼者:製薬会社
依頼内容:以前、役員だった人物が他の製薬会社に転職しているという噂を聞いた。謄本を見ていたが、役員ではなかったので本当にそこで働いているのか調べてほしい。
調査結果:転職先だと思われる製薬会社に行き聞き込みを行うとすぐに判明した。依頼者の製薬会社を辞めて1か月も立たないうちに、転職をしていたようだ。
■副業禁止規定に違反(ケース2)
依頼者:アパレル会社
依頼内容:従業員が風俗で働いているかもしれない。朝番のとき遅刻することが増えたし、繁華街で彼女を見かけたという人もいる。
調査結果:風俗ではなかったがキャバクラで働いている事が判明した。アパレルの仕事が終わったら、そのままキャバクラ店へと出勤した。1時過ぎくらいに出てきたが、お客さんであろう人とアフターをし結局朝方まで仕事をしていた。このような仕事の仕方をしていたからアパレルの仕事に影響していたのだろう。
■元従業員が開業し社員を引き抜く(ケース3)
依頼者:広告代理店
依頼内容:従業員が独立して、他の社員を引き抜いているっぽい。今年だけでも3人に辞められ困っている。もし、引き抜いている事が分かったら対応したい。
調査結果:対象者の開業した事務所付近に張り込み出入りを撮影した。念のために3日ほどの調査依頼だったので、3日間出勤している様子や出入りしている業者等を撮影した。撮影した映像を依頼者に見せると、辞めた元社員達が全員、対象者の会社に出勤していることが判明した。
■まとめ
探偵といえば浮気調査とイメージされる方も多いかもしれませんが、このように企業様からの案件も少なくありません。その時に一番気になるのが違法ではないか?という点です。企業様だからこそコンプライアンスの意識が高く、そこの点で大丈夫か?と不安に思われる方多いです。弊所には行政書士も在籍し、違法な事は決してしておりません。まずは、詳しい状況のお話を聞かせてください。