浮気調査の結果を報告すると、浮気する夫とは一緒に生活したくないと思われる方や、少しでも早く離婚して離れたいと考える方もたくさんいます。その一方で、様々な事情があり浮気されたけど離婚はしたくないと決断される方もいます。ここでは浮気をしている配偶者と何故離婚をしたくないのかの理由と、相手から離婚しようと言われ場合に離婚しなくて済む方法を説明したいと思います。
目次
■離婚したくない理由
浮気が判明するとその配偶者への信頼はズタボロになります。触れられるのも嫌だし、喋りかけられるのも嫌になるかもしれません。しかし、その中でも色々な事情により婚姻を続ける夫婦もいます。どのような理由で婚姻関係を続けるのか見ていきましょう。
・子どもたちがいる為
子どもたちには両親がいたほうが精神的にも安定するという考えがあります。なので、子どもが成人するまでは仮面夫婦を演じているという話を聞いたりもします。また、子どもの学校関連の問題で離婚をし引っ越しをすると転校をしなければならないというケースも出てきます。子ども達には迷惑をかけたくないという考えから離婚をしなかったり先延ばしにする方もいます。
・離婚後の経済事情
子どもの有無に関わらず妻が家で家事をして夫が外で働くという夫婦は今の時代でも珍しいことではありません。なので、妻の立場としては夫が浮気をしていたとしても経済的な問題で中々離婚に踏み切れないという理由があります。私の経験上このような理由で離婚に踏み切れない方は、あまり社会で働いたことがない方や夫が平均以上稼いでいるという方です。離婚をしてパートを始めたとしても時給900円で週5フルタイムで働いても15万円前後あたりで落ち着くになるでしょう。そういったリアルな給料の数字を見るとどうしても躊躇ってしまう方が多いようです。
離婚後は生活費を請求することが出来ないという記事も見ますが厳密には違います。夫が離婚後も生活費の面倒を見るとの了承を得ることができれば「扶養的財産分与」というもので請求することができます。これは専業主婦であれば裁判でも認められるケースでもあるのです。
・自宅の不動産問題
例えば、夫名義でマンションを購入しローンを組んだとします。夫の浮気のせいで離婚になったんだから、妻としては子どもと一緒にそのマンションに住むつもりでいたとしましょう。もちろん、夫はそれについて了承したとします。そうすると、名義の問題がありますよね。夫名義から妻名義に変えなければなりません。普通に考えれば名義変更とローンの問題は別の話なので、名義変更はできそうな気もします。しかし、通常は銀行などでローン契約していると「名義変更する場合は銀行の承諾を得ること」などの条文が入っていると思います。じゃあ、銀行が承諾得ればいいじゃんと思うかもしれませんが簡単に承諾をしないところもあります。また、こっそり名義変更をしてもし銀行にバレた場合は一括返済を求められるリスクがあります。このような場合は公正証書を作成しローンが支払い終わったら名義変更をするとの条文をつけるといいでしょう。
また、よくあるケースでいうと夫婦で連帯債務者契約を結んでいる場合です。そうなると、そのマンションに住んでいない方もローンが残り続けるという状態になりますので中々離婚に踏み切れないという事になります。
・夫への愛情と信用
「浮気は浮気だからいずれ私のもとへ戻ってくる」「まだ夫の事が好きだから」との理由で離婚に踏み切れないということもあります。浮気調査の報告をした直後は離婚すると感情的になられる方もいますが、少し時間を置くとやっぱり離婚しないという方も多いです。また逆もあり、離婚はしないと言っていたが時間が経つとやっぱり離婚をするという方もよくいます。
■離婚を回避する方法
結婚生活は一方の気持ちのみで続けることは現実的ではありませんが、話し合いをし結果的に元に戻るということも珍しいことではありません。浮気をされた側がどのような方法で離婚を回避することができるのでしょうか?
・有責者の証明をする
離婚しようと言われても離婚しないと徹底的な拒否をすればいいと言えます。それは有責者からの離婚は相当な要件を満たさないと裁判所は認めないからです。よく聞くのは別居したら離婚できるという話ですが、別居したとしても長期間でなければ離婚することは認められません。今までの判例では7年以上くらいが多いようです。
また、有責配偶者から離婚することは出来ないと書きましたが、そのためには相手が有責者であることの証拠が必要になります。証拠があることにより「慰謝料請求ができる」「こちらから離婚請求できる」「あちらから離婚したいと言われても拒否できる」「財産分与など優位な立場ですすめることができる」など、あらゆる面で有利に進めることができます。悪い言い方をするとこちらの気持ち次第でどうにでも出来てしまうのです。その為にも必ず証拠が必要で、ここでいう証拠は不貞を推認できる証拠ということです。たとえ一時的に夫が浮気を自白したと言っても、あとでひっくり返される可能性もあります。「浮気と言ったのは女性と二人でご飯に行ってしまったから」とか「体の関係もなく一方的にある女性を好きになったから浮気だと言った」とか言ってくるかもしれません。もっと酷いとなると「そんなこと言っていない」と言われるかもしれません。どんな状況でも対応できるように現場の写真を抑えるのが一番確実です。(参考:浮気の証拠になるものとは)
・離婚不受理申出を出しておく
離婚の話になると互いに感情的になることもあるでしょう。そうなった場合に離婚届を勝手に出されるという事も残念ながら起こってしまいます。そんなの無効だ!と思われるでしょうが、確かに無効です。ただ、その無効を確定させる為には「協議離婚無効確認調停」か「協議離婚の無効確認の訴え」を提起しなければなりません。はっきりって大きな労力が必要になってくるということです。
そうならない為にも役所が離婚届を不受理するように、離婚不受理を申し出ておけば安心ということです。ちなみに、離婚不受理申出は一旦申請出すと無期限で効力が続きます。離婚しようと決断された場合は一度申請を取り下げてから離婚届を出すことになります。
・誓約書を書いてもらう
離婚をしない場合は二度と浮気しないという口約束だけでなく誓約書を書いてもらうようにしましょう。せっかく離婚をしないという大変な選択をしたのにも、また二度三度と浮気をされたら同じように辛い気持ちになります。今後の証拠としても、人としてのケジメとしても誓約書書くというのはとても大切なことになります。
・夫婦間の誓約書
誓約書を書くことにより証明性は当然のこと、誓約の重要性も認識することができます。今後、浮気をしないという事や、浮気相手と会ったら違約金の支払いを記載することにより抑止力にも繋がります。夫婦間の誓約書で大事なことは「浮気をしてしまった」ということの事の重大さに気づかせることです。
・浮気相手からの誓約書
夫婦間の誓約書と同様に浮気相手からも一筆もらうようにしましょう。こちらも再発を防止するために、連絡したり会ったりしたら違約金を払う条項を定めておくことが必要になります。これらも口約束だけでなく誓約書にすることにより証明が簡単になります。(参考:誓約書の作成なら行政書士へ)
■離婚をしたくない時に避けるべき行動
離婚をしたくない時に避けるべき行動は以下の通りになります。
・別居する事
同居している状態なのであれば別居することは避けるべきです。浮気をして離婚問題に発展する場合は離婚したいと離婚したくないという押し問答が繰り返されるだけで解決することはほとんどありません。そこから冷静になる為に別居しようと考える方がいますがそれは辞めましょう。浮気している配偶者は、更に浮気相手にのめりこむようになりますし、なにより夫婦関係が破綻しているという証明がしやすくなってきてしまいます。できるだけ同居することが賢い選択になります。
・浮気相手を過剰に責めない
浮気相手を責めないなんて我慢できないと思われるかもしれません。しかし、浮気相手を責めることにより配偶者と浮気相手との結束が強くなる場合があります。行動力がある方は浮気相手の自宅まで乗り込む人もいるくらいです。また、夫が浮気した場合に多いのですが、浮気相手の女性に慰謝料を請求するなどすると「俺が守ってやる!」という謎の男気を出す場合があるので要注意です。
・自分一人で抱え込まない
自分一人で抱えてこむと感情的になったり精神的に病んでしまったりします。ナイーブな事ですから誰にでも相談できるということではないですが、信頼できる人には相談するべきです。また、浮気の問題に長けた専門家に相談をすると具体的なアドバイスももらえるかもしれません。
■まとめ
本日は「浮気されたけど離婚したくない妻たち」というタイトルで書いてみましたが如何でしたでしょうか?簡単にまとめると「浮気をした者からの離婚はできない」「証拠を掴んで有責者であることを立証する」「離婚不受理申出を出しておく」の3点です。弊所では探偵事務所と同時に行政書士事務所も運営している為に浮気の証拠集めから離婚協議書や公正証書原案などの作成も業務として行っております。なにより、2020年4月より民法改正がある為に公正証書の重要性も高まります。浮気しているかもしれないと思ったら弊所にご相談ください。