不倫というのは、法律上「不貞行為」の事を指します。配偶者の一方が配偶者以外の「異性」と肉体関係を結ぶことと考えられており、様々な法律事務所のホームページや、探偵事務所のホームページにもそう書かれております。しかし、令和3年2月16日の東京地裁の判決で、同性同士でも不貞行為になると認定されました。
■同性と不倫も不貞行為になる訳
今回の裁判の件は30代男性が妻の浮気相手(女性)を「同性同士の性的行為も不貞行為に当たる」という訴えでした。それに対し、浮気相手の女性は「不貞行為は異性との行為」と反論したようです。今までの考えでは浮気相手の女性のほうの言い分が通りそうですが、「不貞行為は男女間の行為だけでなく、婚姻生活の平和を害するような性的行為も対象になる」として不貞行為が認定されました。
異性との不倫でも離婚が出来るのか?
民法770条
- 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
- 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
同性同士の不倫の場合は通常は「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当すると運用されており、実際に裁判例でも離婚が認められたものがあります。しかし、その判決は昭和47年のもので、令和という多様性の時代に解釈が変わってきたのだろうと感じます。同性同士の性的行為も「配偶者に不貞な行為があったとき」と認められたのは、探偵としても非常に参考になります。
不貞行為は本番行為ではないのか
私たち探偵は尾行や張り込みをして浮気相手宅の出入りやラブホテルの出入りの撮影をしていきます。その中で外で手を繋いだり路上でキスをしたりという映像も撮ったりすることがあります。他にも外で本番行為まではいかないが、性的行為をしている場面が見られることもあるでしょう。不貞行為=本番行為という概念を少し考えなければならないのかもしれません。なぜなら、今回の理由の中に「不貞行為は男女間の行為だけでなく、婚姻生活の平和を害するような性的行為も対象になる」とあるので、重要なのは婚姻生活の平和を害するような性的行為と考えるべきなのでしょう。探偵としての証拠撮りが大きく変わっていくことではないでしょうが、これからの色々な判例を注視していく必要があります。
■まとめ
今回は、同性と不倫も「不貞行為」との判断という事で書いてみました。昨今は同性婚も違憲判決が出ており、非常に注目すべき事が多いですね。今までは同性婚の方からの依頼はなかったですが、同性同士の不倫も不貞行為と認められ、これから同性婚が法律に制定されたら、相談も徐々に増えてくるかもしれません。なにか、お困りごとがあれば是非弊所にご相談ください。