【売掛金の回収】債権者代位権行使の為の債権の特定調査

 

売掛金を支払ってくれない業者の取引先を特定してほしいとういことはないでしょうか?以前電話相談にて「取引先が売掛金を支払ってくれない、その取引先の販売先を特定することはできないのか?」という相談がありました。

詳しく話を聞いてみると「その取引先がお金がないと言ってきて、ずっと支払いが滞っている」という内容でした。弁護士に相談に行ったはいいが、取引先が分からないとどうしようもないということで保留状態のようでした。内容としては取引先の金融機関の特定と取引先の特定の二つでした。

第三者からの情報取得という方法

現在では民事執行法が改正され(令和3年から)「第三者からの情報取得手続」という制度ができました。その名の通り、第三者からの情報取得ができるという制度で、「不動産に関する情報」「給与(勤務先)に関する情報」「預貯金に関する情報」「株式情報」という4つの債務者の財産を調査する手続きがあります。
 

不動産に関する情報とは、債務者名義の不動産を日本全国を対象に調査することが可能なため、簡単に特定が可能となりました。(情報入手場所:登記所)
 

給与に関する情報とは、債務者の勤務先を特定することが容易となりますが、養育費や婚姻費用、人の生命等に関する損害賠償でしか開示されません。(情報入手場所:市町村又は年金事務所)
 

預貯金に関する情報とは、金融機関のみで預貯金の情報が分かります。以前は、金融機関+支店名まで必要だったので簡単になったと言えるでしょう。(情報入手場所:金融機関)
 

株式情報とは、証券会社のみで株式情報が分かります。(情報入手場所:証券会社)
 

しかし、当然ながら「単にお金を返してくれないから」だけの理由でこれらの手続きができるわけもなく前提条件が必要となります。債務名義を確定させておかなければならなかったり、金銭債権の債権者に限定されていたり、財産開示手続きが実施されてる必要があったり等、すぐに開示されるものではありません。
 

また、上記の4つのみに限定されている訳ですので、冒頭で書いている取引先である第三債務者の特定はしようがありません。小さな事業者相手には、不動産を所有しているという期待はできず、金融機関の特定か、第三債務者を特定し「債権執行」や「債権者代位権」などで回収するしかないでしょう。

 

行政文書の開示請求

冒頭の件はラッキーな部分もありましたが行政文書の開示請求にて目的が達成できるものでした。業種的にもBtoBであることが多く、金融機関の特定まで出来る可能性が高いものでした。

 

実態を張り込み尾行や聞き込みで裏取りする

現地に行き実態を調査することは重要です。事務所を見ればどの程度余裕があり、出社状況や、動産の特定、そのようなことが判明します。目的は売掛金の回収ですので前提情報を集められるだけ集めておいたほうがいいでしょう。

 

まとめ

以上のように様々な視点から検討する必要があります。諦める前に弁護士や探偵に相談してみてください。